どうして電気自動車なの?
はじめに
色々な方とお話をしているとよく聞かれるのが、「どうして電気自動車なの?ハイブリッドじゃだめなの?」と質問されます。まずは何故今電気自動車が必要になるかを解説します。
環境問題 -サスティナブル-
サステナブル(Sustainable)は、sustain(持続する)とable(〜できる)からできた造語。「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味があります。現在、世界の人たちが共通の目標として取り組み始めているのが「サステナブル(Sustainable)」な社会の実現です。
何を持続可能にするのか?それはずっと地球に人類が持続して住める事を目指すという事なのです。
SDGs
最近良く耳にするSDGsですが・・SDGsの最初のSはSustinableのSです。これは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標で、もちろん日本もこの目標に向かっています。
SDGsの17ある目標のなかで電気自動車が関係する主な項目は7と13になります。
7.すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
ターゲット | |
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7.1 | 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。 |
7.2 | 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 |
7.3 | 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 |
7.a | 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。 |
7.b | 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国の全ての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。 |
13.気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
ターゲット | |
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13.1 | 全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。 |
13.2 | 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。 |
13.3 | 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。 |
13.a | 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。 |
13.b | 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。※国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う一義的な国際的、政府間対話の場であると認識している。 |
また項目7で「持続可能」という言葉がでてきました。
ここで言う持続可能エネルギーは、再生可能エネルギーと言われれば聞き馴染がある人もいるかもしれません。
再生可能エネルギーは温室効果ガス(CO2)を排出せず低炭素なエネルギーで、太陽光、風力、地熱、などがあります。
現在主に私達が利用しているエネルギー(電力や動力)は火力発電やガソリンエンジンによる化石燃料ですが、温室効果ガスの発生も然ることながら、その原料である石油や石炭の枯渇も問題視されています。
これら化石燃料は使い続ければやがて算出されなくなり、発電問題を深刻にするといわれています。
そのような問題を解決し、持続可能な自然のエネルギーとして注目されたのが、持続可能(再生可能)エネルギーなのです。
太陽光や風力、地熱は、水力は基本永遠に得られるエネルギーで、このようなエネルギーが次世代の持続可能エネルギーとして着目されています。
よく、「電気自動車は走行時には確かに温室効果ガスを発生させないが、結局は火力発電を利用した電気エネルギーで走るのだから、同じか電気エネルギーに変換するロスを考えたらHVなどの燃費の良いガソリンエンジンの方が環境に優しいのではないか?」という事をおっしゃる方もいらっしゃいます。
これらの意見のよく根拠とされるのが、日本の自働車メーカー【マツダ】が2019年に発表した、マツダ「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」や、マツダCSR特集の元となったマツダの研究員の論文(原文英語)のデータがアンチ電気自動車のジャーナリストから発信されたことに由来します。
このデータの真実性を検証したネット記事は多くありますが、電気自動車を出していない自働車メーカーの研究発表ということもあり、電気自動車に不利なデータが使われています。
しかし、ここではそれが仮に正しいデータだったとしても、EV/PHEVは発電所がクリーンな発電になればなるほど温暖化に影響を及ぼすCO2を減少させる事ができ、最終的に走行時CO2を0にする事が可能ですが、HVはどんなに燃費を向上させても0にする事は不可能なのです。いずれ、純ガソリン車やガソリンを使用するHVはSDGsを達成する上で完全電気自動車に及びません。
また、2030年をゴールとするSDGsを達成するためには、車の耐用年数を10年と考えると2030年にはまだ大量のガソリン自動車が走っている事になります。もちろん発電がクリーンに変わる必要がありますが今から電気自動車に入れ替える必要があるのです。
この動きは海外では既に始まっており、日本の電気自動車の割合が2020年で1%に満たないという現状はSDGsに賛同している日本としてかなり遅れているというのが現状です。